- ホルモンの定義
最近は「お取り寄せ」でも人気のホルモンですが
意味合いが地方によって微妙に違うようです。広い意味で言うと、内蔵全般のことで
狭い意味で言うと、大腸、小腸などの腸のことになります。
尚、東北や北海道では牛ではなく豚が一般的なようです。- ホルモンの歴史
一般的にホルモンが食べられるようになったのはそう昔ではありません。
確認できる文献では1941年の農水省告示に
「牛及豚ノ内臓等ノ最高販売価格」というのがあるので、
少なくともその頃には認知されていたと推測できます。
(明治の後半には既に煮込み料理として屋台で食べられていたようです)
その頃(戦前)は串焼き、煮込みが主流で、
現在のような網焼きスタイルが出てきたのは戦時中からのようです。戦時中から戦後まもなくの食糧難の混沌としていた時代、
安価で手に入ったホルモンを手軽に提供するために、網焼きスタイルの
屋台が闇市で始まったのが現在の焼肉に発展したと思われます。
この網焼きスタイルのお店、西の「食道園」東の「明月館(新宿西口)」が
1946年に出来、焼肉はポピュラーになっていきます。その後50年代に入ると、食肉牛の生産量も増え、
焼肉のメニューにも正肉が加わり、高度成長が重なったこともあって、
焼肉人気は順調に拡大していくのですが、一つ問題がありました。
「煙」です。男性は、美味しく、精のつく焼肉を食べることが優先で
「煙」まみれになって匂いがついても平気な人が多かったようですが、
女性・子供には受け入れられるものではありませんでした。
そんな問題を解決し、さらなる発展を遂げさせてくれたのが
「無煙ロースター」の発売でした。(1980年にシンポ株式会社が販売)以後、1970年の大阪万博や、同じく70年代に市販の焼肉用「つけダレ」が
発売されたこととの相乗効果があいまって
焼肉は完全に家庭に定着しました。
また、1991年の牛肉自由化で牛肉価格が下がり、
気軽に食べることが出来るようになったのも大きな要因だったでしょう。今では一般的な、焼いてから「タレ」をつける日本式焼肉スタイル
を考えたのも、無煙ロースターを最初に使ったのも「食道園」です。
ちなみに開店当初の看板メニューは「冷麺」でした。「焼肉」という言葉も比較的新しい言葉で、
1960年代後半になって使われだしたようです。
それまでは「ホルモン焼」などと言われていましたが、韓国語の
「プル」(火)と「コギ」(肉)から「焼肉」となったようです。- ホルモンの語源
もともと医学用語で体内の活性化物質の総称であるドイツ語の
「hormon」から、精がつき栄養化が高い料理のことを
戦前から「ホルモン料理」と言っていたようです。
その後、1936年「北極星」の創業者の北橋茂男氏が牛の内臓を
フレンチ風に煮込んだ物を「ホルモン料理」として世に出し、
翌年商標登録(北ホルモン)しました。大阪弁の「捨るもん」(ほおるもん)が縮まって「ほるもん」に
なったという、まことしなやかな話がありますが、
これはあくまでもシャレで都市伝説的なものと思われます。戦後、多くの人が「ホルモン焼き」を生業とした時に、
北橋氏は商標登録を持ち出すのは野暮と言って黙認されたらしいです。- 牛ホルモンの栄養・カロリー
全般的に低カロリー・高タンパクでミネラル・ビタミンの宝庫!
部位によって、栄養素は違いますが、大まかに言うと、
腸の部分には美肌成分コラーゲンがたっぷりと含まれ、
タンには滋養強壮に良いタウリンが、ハツには疲労回復に良い
ビタミンB1が、センマイには貧血に良い鉄分が、そして栄養の王様
レバーには眼精疲労に良いビタミンA(人参の約10倍)・
造血に良い鉄分や葉酸が多く含まれています。最近良く耳にする「ホルモンヌ」
(ホルモンを一人ないしは数人で食べに行くホルモンを愛する女性)
達は、腸などの白ホルモンの一級品を「ジュエル」と言うようです。カロリーの高い順に言うと(100g中)、カルビ(約450〜500kcal)・
ロース(約330〜430kcal)・ハラミ(約350kcal)・
タン(約270〜340kcal)・ギアラ(約320kcal)・
小腸(約280kcal)・ホホニク(約250kcal)・
ミノ、ハチノス(約170〜200kcal)・シマ腸(約160kcal)・
ハツ(約140kcal)・レバー(約130kcal)・直腸(約120kcal)・
センマイ(約60kcal)。
焼き方は鉄板焼きよりも網焼きがお勧め!
網焼きにすると、カロリー、コレステロール共に約15%は落とせます。
また、カルビ・ロースなどは輸入肉だと約30%程度カロリーが
低くなります。焼肉屋さんの一人前は、一般的には70g〜100g
安いお店は70〜80gが多いよう。逆に高級店は100gが標準のようです。- 牛ホルモンの流通経路
繁殖農家で生まれ肥育農家で育てられた牛の生体は、
卸売市場で卸売業者が受け取り、併設されていると場
(または食肉センター)で食肉処理され、内臓、骨、皮、血液、脂肪などの
副産物と背骨に沿って左右2面に分けられた枝肉に分けられます。枝肉の方は、その後1〜2日間冷蔵庫で保管され「せり」にかけられ、
競り落とした仲卸業者が市場内で13部位{ネック(ねじ)、肩ロース
(クラシタ)、肩、肩バラ、スネ、ヒレ(ヘレ)、リブロース、
サーロイン、トモバラ、内もも(内ひら)、シンタマ(マル)、
ランイチ(ラム)、外もも(外ひら)}の部分肉に分けます。
その後精肉され正肉店ルートで小売店に並びます。
(食肉センターでは精肉まで一気に行われます。)一方、副生物(内臓)は枝肉とは流通ルートが異なり「せり」もなく、
新鮮さが重要ですので、その日のうちに消費者にまで流通します。平均的な700kgの一頭の肉用牛から、正肉(枝肉)が約38%、
食用の内臓(ホルモン)が約8.5%程度取れます。