- 和牛
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最初に和牛とは品種のことであって、産地を示すものではありません。
牛乳でおなじみのホルスタンイン種や
ジャージー種と同じ和牛という種です。
だから日本以外の国を産地とする和牛もいます。現在日本で育てられている和牛は、
黒毛和種(シェア90%)・褐毛和種(熊本県、高知県など)・
日本短角種(東北地方)・無角和種(山口県)の4種類です。
この4種類の牛と、これらの4種間どうしで交配された牛、
もしくは上記5種間どうしで交配された牛
(和牛間交雑種などと表示しなくてはいけません)
のみを和牛と定義します。上記4種の内、日本短角種は和牛に認定されたのが一番遅く
1957年のことです。(他3種は1937年)たまに黒牛や黒毛牛といった表示を目にしますが、
これらは和牛ではありません。
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- 国産牛
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搾乳目的の乳用牛(2009年度ベースで約150万頭)は
下記の数から除いています。現在、日本産の肉用牛として出荷されている物(2009年度
ベースで約290万頭、そのうち九州で約37%、北海道で約18%、
東北で約14%)の約65%が和牛、約35%が国産牛です。
その間違いやすい国産牛の定義ですが、
文字通り原則日本で生まれた牛のことです。
ので原則和牛も国産牛ですが、
先に説明したような理由で和牛を除いて表示します。内訳としてはホルスタイン種が約40%
(大半が雄。血統のよい繁殖用の雄牛以外はほとんどが
肉が硬くなるために生後約三ヶ月で去勢されます。
この行為をヌキと言います)
と、交雑種(f1:first filial hybrid)が60%です。
ちょっと整理すると、国産牛肉として消費される牛のうち
約65%が和牛、約20%が交雑種、
約15%がホルスタイン種ということです。交雑種とは主に和牛の雄とホルスタイン種の雌を
交配させて出来た一代雑種の雄で、1970年代後半から生産される
ようになり平成3年の牛肉輸入自由化を契機に急増しました。
毛色は主に黒で、病気への抵抗力が強く、成長が早いため
瞬く間に肉用牛としてホルスタイン種を逆転しました。
その肉質は、父母の遺伝的優越でかなりの差が出、
大半は肉質が2〜3等級ですが、良い物は5等級の物もあります。
和牛でも約20%は1〜2等級ですので、
実際、和牛よりも良い肉質の交雑種もかなりあります。また、最近、国産若牛という名称がありますが、
これは(社)全国肉用牛振興基金協会が主にホルスタイン種の
概ね24ヶ月齢以内の肥育向けに育てられた牛の
総称として名づけたものです。
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- 輸入牛
現在輸入されている牛肉は、アメリカ産、カナダ産、
オーストラリア産、ニュージーランド産、メキシコ産、
チリ産などです。
このうち、最近はオーストラリア産が一番多く、
ニュージーランド産、メキシコ産などになると思います。
アメリカ産はBSE問題以降値段が上がったこともあり、
めっきり減ってしまいました。ここでは一番多いオーストラリア産について説明します。
オーストラリア産は昔は値段が安く、庶民の味方だったのですが、
BSE問題以降かなり値段があがりました。
しかし、その分品質も良くなったものが出てきています。
日本向けに、通常の国産牛と同じ穀物肥育(grain-fed)
されたものがそれです。
昔はオーストラリア産といえば国産牛やアメリカ産と違い
牧草飼育(glass-fed)が一般的でした。
その為、「脂が少ない」・「堅い」といった感想が
多かったのです。(現在の牧草肥育牛はそうでもなく、
沖縄やオーストラリアでは、値段が安く、柔らかくて肉本来の
赤身の旨味がある為、ステーキに最も使われています)もう一つの特徴として、輸送方法の違いがあります。
オーストリア産はチルド(冷蔵)輸送なのでフローズン(冷凍)
輸送主体のアメリカ産よりも味の劣化を防ぐと言う点では
勝っています。
(アメリカ産でもチルド輸送されているものもあります。)穀物肥育(grain-fed)とは牧草肥育後、小麦・とうもろこし
などの穀物を最低100日間は与えて
サシの程よく入った肉質にしたものです。
穀物肥育する期間により、オーストラリアでは
short・middle・longといった等級に分けられています。牧草肥育(glass-fed)とはライグラスやフェスクなどの牧草
のみで肥育された牛で、低脂肪、低コレステロールが特徴です。